パパはアイドル♪vol.２ ～奈桜ｸﾝの多忙なｵｼｺﾞﾄ～

「もう…、恥ずかしがり屋なんですね。アイドルなのに。明日、また伺います。桜ちゃん、お大事に。奈桜さん、お仕事頑張って下さい。じゃ、失礼します」



追い出されても、なおドアに向かって話す根性に、奈桜は深いため息をついた。



「何なんだよ…」



「奈桜が勘違いされるような事をしたんじゃないの？でないと教師という立場の人間があんなに保護者に色目使う？」



優子はちょっと怪しげな疑っているような顔をする。



「やめてくれよ。桜の担任の先生に手を出すほど困ってないよ」



やれやれという感じでちょっと肩を動かしながら桜の部屋に入って行く。





「桜…」



少し赤い顔をして、おでこに熱冷ましのピンクのシートを貼っている。
奈桜はすぐに近付き、頬をそっと触って桜の体温を確かめる。



「しんどかっただろ？よく頑張ったな。…ごめんな。気付いてやれなくて」


何度も髪を撫でながら、朝からしんどかっただろうに心配かけまい、迷惑かけまいと子供ながらに奈桜に気を遣った桜の気持ちに胸が張り裂けそうだった。



「父親失格だな…」


ぽつりと言葉がこぼれた。