近づく距離に、私は体をビクリと跳ねさせた

それを見た男は、近づくのを止め少し後退した


「わかった…近づかないから…とりあえず、名前を教えて?」


そう言う男の目は、少し寂しそうに見えた

でも、気のせいだよね?

この人も、私を人市場から買った人…油断は出来ない


「…カノン」


男を警戒しながら、私は自分の名前を名乗った


「そっか、カノン。俺は、グレイ。今日から、君には俺専属のメイドをしてもらう」


私はメイド服の意味を理解し、小さく頷いた

メイドと言うが、きっと酷い仕打ちが待っているんだろうな…

そんなことを思っているとグレイ様が苦笑いをして言った


「とりあえずは、カノンの順化をしてから…だね」