forget-me-not








「―――早く、」


ギュ、なんてもんじゃない。

更に力を込められた手首はゴキリと鳴いた。



(…血、止まるって)



「雨嶺?」

『え、あ、――――わ、!』


不思議そうに首を傾げる泉月さんにどう、この謎でいっぱいの夜くんの説明をしようかと困っていれば、

潰れそうなほど圧迫された手首が、今度は物凄い勢いで引かれた。



――――カン、カン、カン


衝撃で泉月さんに握られていた右腕は離れ、

ズンズンと先を歩く夜くんに引きずられて私のヒールが追いつかず不恰好な音がなる。



(…腕、ちぎれ、るって)



情けなく後ろを振り返ると案の定、首を傾げてその場に立ち尽くす泉月さんの姿が遠ざかっていた。