―――グ、
『…な、に――――』
振り向いて、心臓が鳴いた。
心臓発作でも起きたかのように一撃を食らったのは、その青色とかち合った途端。
(………、)
ただ、感じられたことは今までにない恐怖だ。
呪われたんじゃないかと思うくらい、自分でも驚くほどにはっきりと。私の左胸はガクンと音をたてて、鳴いた。
『――よ、夜くん』
先程の余韻でトクトクと鳴り続ける心臓を抱えながら、よろめきそうになって声を出す。
心地よくないダメージを受けたせいで、気分はあまり良くはない。
(…なに、いまの。死ぬかと思った)
「雨嶺ー?」
何事かと振り返った泉月さんが相変わらず間延びした声で訊く。
必然的に彼の視線は私の左腕を掴む人物へと注がれる。
「、だれ?」
きょとん、と笑みを崩さない泉月さんが夜くんを指差して私に問う。
私は未だ拭えない心臓の不快感を必死に頭で払拭していた。
泉月さんの方を一度も見ずにこちらへ向けられた瞳が痛い。
ジリジリと、灼けるようなその眼が痛い。
何故だろう、その色は涼しげで玲瓏なそれを纏っているというのに。
(…痛い、)
こんなの初めてだ。早く、視線を逸らしてほしい。
夜くんが、こんなに恐い―――。
『――来て、』
泉月さんの存在など初めからないかのように完全無視で私を見つめ続けるその目も、その声色にも、情動は感じられない。
きっといつものように、ただ、無機質なだけだ。
(…なのに、どうしてこんなに、)


