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『――ねぇ』
ブランケットに絡まりながら、膝を立ててカウンターに座る夜くんを眺めた。
夜風にあたっていたせいで少し冷えたはずの体は、不思議と内側が少し暖かい。
「何?」
『何で倒れたの?』
「また、その話?」
またって…。私が訊いたときに上手く交わしたのは夜くんだ。結局答えを聞けずに曖昧になって。
私のことは全部見透かしたような目をする癖に、自分のことは全部秘密にするわけ?
「フウが心配しなくても大丈夫」
『心、配なんかしてないけど』
「…じゃあ、尚更ね」
照れ隠しというか、こういう私の可愛げのない強がりをまともに返してくるとはどういう神経なのだろう。
(…だって、死にそうだったじゃん)
心配にも、なる。
「僕は死なないから」
『……』
「平気だよ」
『……』
なに、また。また勝手に私の心の中を見透かして、そんなふうにフォローを入れる。
私は握ったブランケットを鼻頭が隠れるまで引き上げて、むっとしながら、表情の読めない夜くんの背中を見つめていた。
そもそも、彼に表情なんてものはないに等しいけれど。


