forget-me-not








『恋愛を知りたいならリカに頼んだら?あなたに夢中みたいだし』

「……」

『ねぇ、聞いてるの?』


ワインを飲む私をジ、と見つめたまま動かない黒川夜。

そして、ゆっくりと首を振った。




「僕にはちゃんと名前がある」

『……?』

「名前を呼んで」

『は、…え』


予想外の要求に驚いて拍子抜けしてしまった。

まさかこの男の子の口からそんな言葉がでるなんて思わなくて。




「フウ」

『…え?』

「呼んで?」


小首まで傾げて更に私の顔を覗き込む。

からかっているんだろうか。

私が動揺して内心少し照れているのを見透かして、嘲ってるの?




「早く、」


私の思考を読んで追い討ちをかけるように、その蒼眼が近づいた。

自分が美しい存在であることを、黒川夜はきっとわかっているんだ。



(…わかってて、私の反応をみてる)




『…黒川、くん』

「……」

『……』



(…あぁ、もう)



『…夜くん、』


その策略にまんまと嵌ったみたいで少し悔しかったけれど、仕方なくそう呟いた。