「…あの、神谷勤の、記憶を、」
『リカは、見捨てるんだ?』
(…あ、)
そうだ。二者択一なのだ。ここで自身への救いの手を選べば、リカは命を落とす。
(…。てゆうか、)
意識が錯乱してたとはいえ、弱みにつけ込まれるがままに黒川夜の言葉に縋って…。
まるで誘導尋問のように。だいたい人間が記憶を消したり、人の寿命を延ばせるわけ…
(…人間じゃ、ない?)
そう言えば本人自らかそんなようなことを何度か言っていた。
最初は冗談か頭がおかしいのかと思ってたけど……
(…そもそもなんで神谷のこと、知って、)
「混乱、してる」
『そりゃ、だって。……なんなの、あんた。始めっからわけわかんないことばっか。だいたい……リカと神谷の二択なんて私を試すようなこと、』
「支離滅裂、っていうのかな。キミの言葉」
『はー?』
興味深いとでも言いたげに私の顔を見つめるその顔は、冷静沈着で、悪意は感じられない。
語気を荒げて取り乱す私が馬鹿みたいじゃない。


