「――消して、あげようか」
『…キャ、』
ダン、と思わず手をついて立ち上がる。
音もなく机の脇に現れたその姿に驚いて。
『ど、どっから入ってきたの…?!いつの間に?』
「ドアからに決まってるだろ」
しれ、と澄まし顔で相変わらず血の気のない顔と共に漆黒の睫毛を傾けると、
向かい側の席にふわり、座った。
『…全然、きづかなかった』
両手の細長い指を組んだ上に顎をのせ、静かにその瞳を伏せていた黒川夜。
私が放心状態でそう呟けば、僅かに視線だけをこちらにあげた。
そしてやはり、あの蒼い瞳と容赦なくぶつかる。
「あの状態じゃ、きづかないでしょ」
『どこから…。見てたの?』
(…恐い)
右側の窓から入る薄暗い明かりに片側だけ青白く照らされた黒川夜の顔。
もう片側は真っ暗で何も見えない。
その全てを射抜いてしまうような眼で、私の思考を……あの事を、彼に読まれてしまったような気がして、恐い。


