forget-me-not








苦しい。そうやって優しくされればされる程に、心の弱さに侵入される度に、



(…だめになって、いく)




『私は、誰の前でも泣かない……』


弛緩していた両腕を払ってキ、と彼を振り返る。

それに怯んだ新戸くんは、驚いて目を丸くした。




『…ごめん、でも、』

「わかってます」

『…え、』


彼は俯いてから顔をあげると、片眉を下げ苦笑しては、諦めたように言った。




「神谷さんとの事も。先輩の強さも、」

『なんで、それ……』


息を飲んで聞き返せば、彼は一呼吸置いてから静かに、




「でも同時に先輩の弱さも、知ってるつもりです」


ニコリ、愛らしい瞳で微笑んで首を傾けた新戸くん。拍子にその柔らかい髪が揺れた。




「俺は、待ってますから」

『、』

「いつだって、あなたを抱き締めますから」

『、』

「だからたまには、寄りかかってください」



(…なん、で)



本当、は。

本当は今すぐに泣き崩れて、その優しさに縋りつきたい。

けれどもそれをしてしまったら、私は私じゃなくなる。



(…今までの私は、消えてしまう)