『夜くん、……わ、たし、』
開きかけた口を、夜くんが人差し指で封じた。
それ以上、言うなと。きっと、そういう意味。
「彼と、幸せになってよ」
『でも、……』
「恋愛のできないフウと、愛情を知らない僕。お互いにすごく変われたと思う」
そう言った夜くんの横顔は、妖艶の中にも穏やかさがにじみ出ていて、もうそこに無機質さはなかった。
「恋をすることは苦しむことだ。苦しみたくないなら、恋をしてはいけない――僕は、この言葉がキミにぴったりだと思ってた」
私に返した詩集を示して、夜くんは私を見つめた。
「だから、キミが恋愛をしたくないならしなければいいよ」
その瞳はこの世のすべての宝石をもってしても、敵わないほど美麗で。
「でも、彼の言葉には続きがあるんだ」
まるで魔法のように引き寄せられる私は、すっかり彼の虜だ。。


