逃げちゃだめだ。
そんな、どっかのアニメの主人公みたいなセリフを呟いてみる。
私は夜くんと出会って変われた?
逃げることは、目を背けること。
傷つけていても傷つけられていても見て見ぬふりをすること。感じないふりをすること。
それは、生を否定すること――。
逃げちゃダメ。
夜くんが言っていたっけ。
私は同情でしか人を好きになれないと。
それは私が逃げていたから。それを彼は誰よりもわかっていたんだと思う。
ざぁざぁ鳴る雨音の中、
脳内だけがクリアだった。
うじうじした思いも、余計な殻も全部、この滴ひとつひとつに乗って、流れ落ちていけばいい。
(…夜くん)
冷たい滴がひとつ、睫毛の先からぽたりと地面に落ちる。
(…夜くん)
その透明な輝きは、いつかの夜くんの涙を思い起こさせる。
(…夜くん)
彼の涙はもっと、クリアブルーで宝石のようにきれい。


