え、と目をあげたとき、真剣な新戸くんの茶色い瞳とぶつかった。
あぁ、たまにこんな風に男っぽくなるんだよなぁ。呑気にそんなことを考える私は相当失礼かもしれない。
「俺、実は伝言預かってるんです」
『伝言?誰、から?』
「――黒川、夜からです」
ドク、その名前をきいた瞬間に大仰に跳ねる胸が体を揺さぶった。
どくん、どくん、その余波は苛立たしいほどに収まらず、気持ちがどんどん急いていく。
(…夜くんから、伝言)
期待と、恐怖。
この期に及んで何かを期待するなんて馬鹿げてるけど、せずにはいられない。
それと同時にまた突き落とされたら、という恐怖も心臓の鼓動に拍車をかける。
『…な、……んて、?』
おねがい。
忘れようとしていた矢先、そんなことを願う私も大概だ。


