「で、あいつは死んだ」
『……っ、』
「ま、さ。あんたのせいとは言わない。だけど、俺はずっと、あいつが幸せならそれでいいって思ってきたんだ。なのに、死んだ」
死んだ、を二回口にした。
そこには哀しみや悔しさは微塵も表れていなくて、ただ淡々と、事実を繰り返しているようだった。
その瞳には虚無の色が浮かんでいた。
泉月さんはその瞳を持ち上げて、にっこり笑うとパチリ、両手を叩く。
「はい、それから、葉」
『…え、?』
まさかここで新戸くんの名前がでてくるとは思いもしなくて、思わず聞き返す。
でも泉月さんは特に意に介したふうもなく、そのまま続ける。
「あいつにね、相談されたわけ。あんたのこと。…でもな、今回も、なんだよ」
そこで初めて、彼の顔に怒りとみてとれる表情が浮かんだ。
虚無だった瞳の中に、ちらりと赤い火がみえた。
「今回も、お前は俺から大事なやつを奪った」
その声は酷く、悲しげだった。


