「…何で、こうも上手くいかないんだろうなぁ、人生って」
何か、あったんだろうか。ゆるりと視線を空にあげて、泉月さんがぼそり。
それから白衣のポケットに右手を突っ込むと、なんの違和感もなく小さな長方形の箱を取り出した。
「まったく、……嫌になるよ」
再び何に向けてかわからない愚痴をこぼして、そこから一本取り出すと着火。
あとは口に咥えて、どんより曇った空めがけて息をはく。
彼の気分に同調するような気怠げな紫煙が、ゆぅるりとあがっていく。
(……こ、れ)
同時に、私の鼻腔をくすぐるのは。
気のせいではなく――
『こ、れ……』
「ん?……あぁ、やっぱ鋭いんだな」
『ど、して、』
どうして、神谷と同じ香りを、纏っているんですか?


