forget-me-not








『…あ、』


ぐるぐる廻る思考を抱えながら学内をうろついていたら、この前新戸くんと二人でいた場所にたどり着いた。

自販機の前に設けられている喫煙スペースには一人の学生がのんびりと煙草を吸っているだけで、他に人は見当たらない。




『あー、』


自然にそんな言葉にならない声がでていた。

そっちのほうも、まだ解決できていなかったんだっけ、と思い出して。

「俺は真っ白いシーツじゃないってことだけ、覚えておいてください」あんなふうに言った新戸くん、彼のその誠意に、私は応えられないというのに。

――ガタン、

先日と同じように桃カルピスを買う。

キンキンに冷えたそれを手に取って、冷たさに顔をしかめた。



(…どうせなら温かいものにすればよかったかも)



キュ、とキャップを回して中身を口に含む。甘い。

私がいつもこれを飲んでいるせいで、神谷とのキスはいつもこの味だったけ。飲むたびに思い出すっていうのに、いい加減やめられないのは何でだろう。