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リカと夜くんがキスした。
そんなことを聞かされて、ショックというより信じられない気持ちのほうが大きかった。
もう彼のことがさっぱり解らない。
もっとも彼のことでよく理解できることなんてひとつもないけど、今回のことはあんまりにも、だ。
(…もう、疲れちゃった)
久々に人を好きになった。
けれどその恋は、普通のそれとはかけ離れていて、掴んでも掴みきれない雲のよう。あの忘れな草のように、この手をすり抜けていく。
『…逃げ出したい、な』
何から?夜くんから。
リカから。新戸くんから。神谷から。陵から――。
みんなの顔が順々に頭に浮かぶ。私はこうしてたくさんの人と関わって、今日ここに居るんだな。
それでもどうして、いつも良くない方向に事が進んでしまうんだろう。
(…私に、原因があるの?)
あったとしてもそれはきっと、そういう星の下に生まれた、とか。生来のものだろうからどうすることも出来ないんだけど。


