forget-me-not








***



リカと夜くんがキスした。

そんなことを聞かされて、ショックというより信じられない気持ちのほうが大きかった。

もう彼のことがさっぱり解らない。

もっとも彼のことでよく理解できることなんてひとつもないけど、今回のことはあんまりにも、だ。



(…もう、疲れちゃった)



久々に人を好きになった。

けれどその恋は、普通のそれとはかけ離れていて、掴んでも掴みきれない雲のよう。あの忘れな草のように、この手をすり抜けていく。




『…逃げ出したい、な』


何から?夜くんから。

リカから。新戸くんから。神谷から。陵から――。

みんなの顔が順々に頭に浮かぶ。私はこうしてたくさんの人と関わって、今日ここに居るんだな。

それでもどうして、いつも良くない方向に事が進んでしまうんだろう。



(…私に、原因があるの?)



あったとしてもそれはきっと、そういう星の下に生まれた、とか。生来のものだろうからどうすることも出来ないんだけど。