「何故泣くの」
私の反応に驚いたのか、夜くんは不思議そうな顔をしてそう訊いてきた。
そんなことまで説明しなくちゃならないのかと、私は苦笑を漏らしながら、必死で溢れる涙を抑えようと拭った。
「…僕に愛されないというだけで、そんなに悲しい?」
『悲しい、よ。悲しい。すごくすごく悲しいよ』
あぁ、これじゃあまるで子供みたいだ、なんて思いながらも、虚勢を張る余裕なんて残っていなくて。
自分でも感心するほど素直に胸のうちをさらけ出してしまっている私がいた。
(…でも、もう、こんな恰好悪いの、やめなきゃ)
そろそろ泣き止んで、いつもの私に戻らなくちゃ。
ぐしゃぐしゃの顔を拭いながら、鼻をすすり、無理やり息を吸い込んで、夜くんを見上げた。
「…フウといると、僕が僕でいられなくなる。やめてよ。もうこれ以上、だめなんだ。僕は、ただの道具なんだから。いけないんだよ」
見上げた顔は、信じられないことにまた涙を流していた。
けれど、私の泣き顔とは打って変わって美しく、顔をゆがめずにただ縷々と流れ落ちるその煌めきは、金色の粒のよう。
『よ、るくん……』
たまらずに手が伸びた。
けれど私の右手が彼の頬に触れようとした瞬間、振り払われて。


