forget-me-not








「ただの道具だから、感情をもつことなんて到底許されないんだ」

『……そんな、道具だなんて、』

「それでもキミはこんな僕に、情けをかけてくれた。だから少し、興味が湧いたんだよ」


それはきっと、クロを見つけたあの日のことなのだろう。

捨てられたのだと思っていた黒猫は、雨に濡れて泣いていた。野犬に噛みつかれたような跡もあった。

それを介抱したときのことを彼は覚えていたんだろうか。いくらミルクをあげたって、飲んではくれなかったけれど。




「あのときはまだ、こっちの次元に姿を確立するのに慣れていなくて。大変なところをキミに拾われたんだ。食べ物は必要なかったから、毎日だされて困ったけど」

『全然知らなかった。……それで、それでこの森で私にだけ、姿を見せてくれたの?』

「そうだよ。覚えていないかもしれないけど、キミは友達の別荘に遊びにきていて、そのときここで僕と会ったんだ」


そういって、夜くんは木の茂みに隠れていたものを引きずり出した。

それは、あの時みたものとまったく同じものだった。記憶は曖昧でも、その形ははっきりと覚えている。




「キミはこれをUFOだって信じてたから、なにも言わなかったけど。正確にはちがう」


赤や黄色の線があちこちから飛び出す四角いそれは、びりびりと音をたてて、青い稲妻が光ったり消えたりを繰り返している。