「キミが気が付かないからだよ」
記憶の中の少年――その正体が彼であるという確証はないけれど、私は振り返った瞬間に確信した。
宇宙人だと思っていた少年、わずか10歳だった私の初恋の彼の名前は……
――他でもない、黒川 夜だったのだと。
『だけど、だからって、言ってくれてもいいでしょう?わたしずっと待ってたんだから。……あなたが帰ってくるって、あのとき言ったから、ずっと、』
「だから帰ってきたでしょ」
『っ、あぁ、もう。頭が混乱してきちゃったじゃない』
これじゃあまるで馬鹿みたいだ。あんなに必死でUFOやら宇宙人やら調べつくして、あの日の淡い恋心を思い出したくて、またいつか会えると信じて……
それなのに、当の本人は私の近くにいて、なにも言わずに黙っていたなんて。
『ひどいよ……。(初恋だったのに)』
「なにも酷いことなんてしていない」
『そういうのがひどいの。……私が気が付かないでいるのをみて面白がってたんでしょ?』
私ってば、なんて空回りなんだろう。きっとあの恋心は私だけの一方的なものだった。
キミが忘れたころにまた、戻ってくるよ。なんて、彼の気まぐれだったに違いない。
何より悔しいのは、あのときの少年だと知らなかったにも関わらず、私は……
私は……
(…また、夜くんを、)
やっぱり再び現れた彼も、恋愛感情なんて到底持つことのない不毛な相手だというのに。


