『ここだ、絶対ここにまちがいない』
気が付けば早足になり、そんな独り言を口にしていた。
木々に囲まれ、大きく拓けた野原があり、その横に小さな湖がある。
いつかもみた、その光景――。
(…それに、絵本とおんなじだ)
シロツメクサの花も、青々茂る新緑もないけれど、その場所はあの絵本と瓜二つだった。
ずっと探し求めてきた情景が、今、目の前にある。
その地を、ちゃんと、この足で踏みしめている。
夢じゃなかった――、と叫んだ、となりのトトロの皐とメイの気分だった。
(…夢じゃなかった)
そう実感した途端、まばたきもしないうちにツー、と反射的に温かい涙があふれた。


