一度も陵の病室に行けなかった。 私のせいで目を覚まさない彼を見たくなかったから。 神谷のお葬式にも行けなかった。 憎しみと愛情と憐れみをどう処理してぶつけたらいいのかわからなかったから。 逃げて、逃げて、逃げて。 やっとここまできたというのに、今もまだ、過去と恋愛から逃げている。 過去を理由に新戸くんのまっすぐな気持ちから、黒川夜の、まっとうな正論から。 また、悪夢を繰り返すんじゃないかと。 彼が死んだときも、陵があんなふうになったときも、いつだって、 (…私は自分を守ってばかりだ)