forget-me-not







ツー、ツー、ツー、ツー、

通話がきれた音だけが、脳内にリアルで。

そんなに音量が大きいわけでもないのに、やけにうるさくて。


ツー、ツー、ツー、ツー、


だんだん大きくなるその音に飲み込まれて、世界が反転するようだった。




「…りょぅ。りょう、りょう」


携帯を片手に、何度も名前をよんだ。

けれど呼べば呼ぶほどに、涙があふれて、陵の笑顔が浮かんだ。




「…り、ょ。りょう、りょう」


そのあとは憑りつかれたみたいに部屋を駆け出して、陵の運ばれた病院にむかった。




なんで、なんで、なんで、なんで。

頭の中はそればかりが駆け巡り、ふんわりと笑った、最後にみたときの陵の顔が、霞みがかったように白く淡く浮かんでいた。




「でも、神谷さん、フウのためになら人を平気で殺しそうだよね」


そういって微笑んだ、あの笑顔が。