forget-me-not








神谷が大学をおわれたことも、そんな目にあっていたことも知らなかったんだから、当然といえば当然だったのだけれど。

私に本当のことを話して見放されることが、彼は怖かったのかもしれない。




「なんであいつにばっかり構うの?」


ある日、神谷がいった。

あいつというのは陵のことだった。



「陵は、わたしにとって、ほっとけない存在なの」

「なんで?おれよりも大事なの?」

「比べられないよ…。家族と恋人を比べるようなもんだもん」

「あいつのほうが大事なんだ」

「だから…、」


こんな、バカみたいなやり取りばかりする毎日に嫌気がさして、いっそ、距離をおいたほうが神谷のためになるんじゃないかと、考えていたころだった。