forget-me-not








『そっかぁ。よかった。そのまま高校行かなかったから、陵は一生女の子と縁がないんじゃないかって心配してたんだよ』

「おんなのこなら、道にいっぱいいるよ」

『道って…、』


まさか、まさかナンパしたのかおまえ。なんていう突っ込みが一時頭に浮かんだものの、陵に限ってとかき消した。

その大きなきらきらお目目とか、ふわふわの髪だとか、一見ハーフか、美少年風の顔立ちに、逆ナンされることは多々あっても、自分からするわけがない。




「きれいだったんだ」

『へー。美人なんだね』

「ううん。絵」


陵はぴょんとベッドに飛び乗って、サイドテーブルの引き出しから一枚の絵を取り出して私に見せた。




『なに、これ』

「あ…、まちがえた」


そうつぶやいた陵の手によって、その絵はぶんどられる。



(…なに、いまの。怖。こわすぎ)


間違えて渡されたそれは、明らかに陵が描いたもので、うっすいグレーの色彩で細かい文字だとかぐしゃぐしゃした黒い塊だとか、その中に不似合な天使の絵だとかが書いてあった。



(…相変わらず頭ん中、カオスだな)