それから一週間が過ぎた。
アキラは身の危険を感じてさっさと大学をやめ、家も引っ越した。
残された佳代子の行動といったら、あまりにも酷く理不尽なものだった。
アキラがいなくなって、やり場のない悲しみと憎しみの矛先はあろうことか――神谷に向いてしまったのだ。
「え…、」
「要するにだね、自主退学を勧めているんだよ。君もこのままじゃ居づらいだろう」
「そんな…。だって僕は冤罪なんですよ。なにもやってない。ただ、死のうとした彼女を止めただけで、」
「いいかね。事実はこの際関係ないんだよ。そういう噂がここまで広まってしまった以上、もうどうしようもないんだ」
神谷に性的暴行を受けた、と。そんなありもしないでっち上げを学内に流したのは、もちろん佳代子だった。
たちまち広がったその噂のせいで、神谷はどこにいても白い目でみられ、反論することさえ許されなかった。
(…おれが、何をしたっていうんだよ)
佳代子がなぜそこまで自分を恨むのか、一度直接問いただそうとしたものの、大声で泣き叫ばれて、話どころではなかった。
周囲もまたそんな彼女を憐れむように見つめ、神谷を黒だと決めつけては殊更に迫害した。
内定は取り消され、かつての親友も一人でどこかへ逃げた。
仲間も夢も希望さえも、すべてが泡のように消え去った。


