forget-me-not








神谷がそんなふうになってしまった原因。

随分と時間が経ってから、どうにかリカのコネクションを使って調べてもらい、それは明らかになった。




大学に通う神谷の親友で同じ学科だった男の子――アキラくん。彼には当時付き合っている彼女がいた。

ところがアキラくんは他の女の子と浮気をしていたらしく、そのことに気が付いたアキラくんの彼女がとうとう激昂して、ある事件を引き起こしてしまった。


神谷の人生までをも狂わせる、ある事件を――。



「神谷くん、アキラに上の屋上にきて、って伝えといてくれない?」

「え…、俺?なんで、メールしとけば?」

「いいから。わたしが言っても最近はあいつ、無視するし。神谷くんが言ってくれれば、来ると思うし」

「あぁ、そうなの、か。わかったけど、」


彼女にいつもの溌剌とした笑顔はなく、声色にも感情の起伏というものが感じられなかった。瞳も虚ろで、開き切っていない。

どこか意を決したような、戦死を決めた兵士とも似通ったようなある種の覚悟、が感じられ、普通ではない不気味さを神谷は感じた。




「…ふぁぁ。眠。なんだよ、佳代子。こんなとこ呼び出して」

「あ、じゃあおれはこれで」

「――だめ。神谷くんもいて」


仕方なく屋上にやってきたアキラと、その付き添いだった神谷。

神谷が役目を終えて立ち去ろうとするのを、アキラの彼女――佳代子はどういう理由かひきとめた。