forget-me-not








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「~からして、アリストテレスは………」



(眠い…)


(眠すぎる…)



11月。

講義室内の暖房はマックスで着ているセーターも当然、極力熱を逃がさないようにできている。

選択ミスだ、完全に…。

脱ぎ着できるものを着てくれば良かったと教授のよく禿げた頭を眺めながら、後悔。




『…っい!』


机にへばっていた私の頭にガコ、何やら固いものが当たった。



「…ねぇ、聞いてるの?」

『リカ…』


リカ――大学のマドンナ。以上。




「ちょっと、風!」

『なにぃ』


気怠い頭を持ち上げて、彼女のほうを振り返る。

今日のリカは真っ赤なカーディガンにフリルのついたブラウス。



(赤…。余計暑い)




「ねぇ、新戸くんからあなたに伝言、頼まれてるんだけど」


同じく真っ赤に塗った爪で茶色く染まった毛先をくるくるさせながらリカが面倒臭そうに言った。




『え、なに?』

「本が手に入ったとかなんとか…。授業全部終わったらきてって」

『あぁ、了解』


爪を塗り直し始めたリカを背に室内の心地良さと睡魔に負けた、私。