「短い間だったけど、直は母親になった。俺も父親になった。辛かったけど・・・・・・な」





人差し指でおでこをぽりぽりとかいた。



先生、本当に父親の顔してたもんね。




「母親の顔になった直を見て、また俺はお前を好きになったよ」



「私も、パパになった先生を想像しちゃったよ」



「また・・・・・・会えるよ。だから、前を向いて頑張ろうな」



「うん!!忘れ物を取りに行ってるだけだもんね!」






音楽室の扉を開ける。




廊下の窓からの光がキラキラしていた。







「あ!!新垣先生だぁ!!」





廊下の向こうから生徒の声がした。





「やべ!見つかった!!逃げるぞ、直」





先生は私の手を引いて、走り出す。





「どうして逃げるの?せんせ~」




「わかんねぇ、俺も。ははは」





ふたりで手を繋いでまた走る。




追いかける生徒。






キラキラしていて、ドキドキして・・・・・・





懐かしい。


廊下を走る。




やっぱりここは特別な場所。




先生と私の出会った場所。