「先生、どうしたの?大丈夫?」 あの時は、寂しそうな背中と、悲しい横顔が心配だった。 「あ、矢沢ぁ・・・・・・」 振り向いた先生は、ぎゅっと私を抱きしめた。 「え~、あの時、こんなことしてくれなかったよぉ」 「そうだっけ?」 そのまま、音楽室へ。 「じゃ・・・・・・久しぶりの」 音楽室の扉を閉めて。 「鍵閉めちゃったぁ!!」 「うわぁ!懐かしい!!」 久しぶりの匂い。 あの頃と同じ。 うん。 変わってない。 ベートーベンは相変わらず私達をジロっと見つめている。