そそくさと背を向けかけた僕へ、この期に及んで、男は慌てる事なく口を開く。

「ああ、嘘だとお思いなんですね。タイムマシンですよ、正真正銘」

 落ち着き払った言い方に、思わず動きが止まり、まじまじと彼の顔を見てしまった。

 応えるように、彼は薄く笑った。声は上げずに、口角だけヒクリと釣り上げて。こういうところは実に“悪魔”らしい。

「信じられませんか」

──本当に未来へ行ったと言うのなら、僕がこのあとどうするかも、彼は知っているんじゃなかろうか。

 そんな思いが脳裏をよぎる。