「え? ええ、なにそれ?」

「どっちがいい?」

「なにそれ、どっかで聞いた昔話の、大きなつづら、小さなつづらみたいなのは」


 そういえば、幼稚園のとき、お遊戯会での、舌切り雀がそれだった。

 私はおばあさんで、遼はちっちゃくて可愛かったから、すずめの役だった。




「さあ、どっち」

「どっち・・・っていわれても」


 
 迷ってしまう。迷いだしたら、止まらない私。

 いつまでたっても決めきれない私に、遼が二つとも差し出した。



「よくばりな、芽生には二つともやるよ」

「よくばりじゃないもん」



 いいながらも、しっかり受け取る私。



「ありがとう、遼」

「どうしたしまして」

「あけていい?」