いや確かに今まで全てのことを爺やさまに任せてきたのでしょうけど… 高校一年生になって未だにクッキーを作ったことがない、とは。 バレンタインとかには何もなかったのでしょうか? 「バレンタインに作らねぇのか?女って」 ずばりと秀が問う。 「興味なかったかな。好きな男の子とかいなかったですし」 控えめに微笑む結愛に少しだけ心の中にほっとした自分がいた。 「家庭科で、クッキー担当になっちゃって」 「……作りますか?」 言ってみると、キラキラニコニコした笑顔が眼前にあった。 「うん」