だから、嫌、つか……

驚いただけ……


「結愛純情だからね」


前にいるまなかが話に割り込んでくる。


ニコニコ不可思議な笑いを浮かべて。その表情腹立たしいわ。


「お嬢様ってそんなもんか」


納得、と秀。


「そうそう」


頷くまなか。


「にしても十六夜はそんなにお嬢様って感じじゃねぇな」


大分お嬢様だけどね。十六夜は学校だけじゃなく、大手企業でもある。


「あ、今侮辱され…」


『おーい十六夜、この答えはなんだ』

「えっと、8χの3乗-12χу+6χу-уの2乗?」

『……聞いていたのか』


黒板にちらりと目を向けただけのまなかはスラスラと呪文のように答える。