「爺や…!?」 目の前の光景は――酷いもので。 朝食の準備中だったのかシンクには洗い物や包丁が置かれていて。 いつも優しく微笑んでくれる顔が青白く、身体が横たわっていて。 大事だということはお嬢様の結愛でさえわかった。 「う……そ」 声を出すことさえも難しかった。そっと爺やの手に触れる。 …温もりは感じられた。 (意識は……ない) 「爺や、目を覚ましてください!しっかりしてください!」 結愛は声の限りに叫び、呼び続けた。