我が家の甘々執事サマ☆


「あ………っ」

唐突に浮かんだアイデア。

携帯を片手に話を進める父をじっと見る。

何かに気づいた父は、早々と話を切り上げたようで、携帯を置くと「何を決めたんだ?」と聞いてきた。


「はっきり言う」

「あぁ」

「…私は、お父さまや親戚の様子を聞いたら、結婚はしたくないと考えてる」

「そりゃあまた極端だな」

ハハッと笑われ、思わず苦笑いをしてしまう。

「でも、それじゃ相田家がまずいってこともわかってる」

「そうか」

「だから、ワガママを聞いてほしいんだ」


存続の危機なら仕方あるまいなぁ、と冗談交じりの父に真剣な顔を向ける。



「執事として、百瀬家で手伝いながら結愛様の姿を見てみたいんだ」



父は、一瞬ぽかんとしたあと、静かにうなずいた。