ゲートに戻ると、そこにはすでに黒い車が停まっていた。


「爺や」

「ご心配お掛けいたしました、お嬢様」

「もう、平気ですか?」

「そりゃあもう、大丈夫でございます」

いつもの爺やだ。

良かった……


「みんな」

「お別れ、ですね」


慧斗が言った一声にみんなが顔を伏せる。そんな顔、してほしくないのに。


「結愛さまっ!」


琉叶くんがにっこり笑って背中に抱きついてきた。


「わあっ」

「ボク、頑張るよ!絶対にいい執事になるね」


可愛くて弟みたいで、大好きな人を一途に想う琉叶くん。

その一生懸命な気持ちがあれば大丈夫。


「朔ちゃんとの式、呼んでね」