「わたし踊れなくて」 「エスコートいたしますよ」 あったかく取られた右手にわたしは素直に従う。 さすがハルト。ステップも踏みやすい。 次は俺な、と相変わらず拒否権のない言い方をする秀に苦笑いしながら。 笑いながら見ていてくれる慧斗に琉叶くんを見つめながら。 とても幸福感に満たされていた。 ――この瞬間がいつまでも続いたらいいのに… 瞳をつむりながら、密かに祈った。