「結愛」
タイミング良く駆けてきた赤っぽいドレスのまなか。
黒のレースに花のモチーフが華やかで彼女らしい。
「また白身魚?好きねぇ」とケラケラ笑うまなかにそっと問う。
「まなか、シェフ変わった?」
「え?去年と一緒よ」
「そう……?」
なんだろ、味が濃い……気がする。
「変ね、味おかしい?」
心配するまなかに「そういうわけじゃない」と答えるけどまだ舌が慣れない。
「ならいいけどね。あ、わたし挨拶あるから。あとでね、藤坂も琉叶くんもごゆっくり」
にこりと笑って去っていくまなか。それを見送ってから秀が口を開く。
「お前さ」

