あれから、わたしの頭のなかで何かがぐるぐるうごめいて、疼いてる。

「………」


唐突すぎてびっくりしたのもある。別に眞輝くんが嫌いなわけじゃないんだけど。


なんだか、自分の心に嘘をついているような気がして――ちょっぴり辛くなるんだよね。



『本当に好きな人じゃなくていいの?』


母親の気まぐれなんだから。
気にしなくていいじゃない。
と頭の中でリフレイン。



「結愛さま…?」


自室の隔てられた壁、扉の外からハルトの声がした。


心底心配しているような声のトーンに申し訳ない、と思いながらも「はい」と応える。