「なんとなく、考えはしてないわけじゃなかったですけど。父も母もそうだったし」 「しかしお酒に酔っておられたようでしたからね。口約束程度でしたよ」 仕方のない母親です。 母は、許嫁から本気で好きになった恋愛らしい。だからってどうってことないけれど…… わたしも、そうなる? なんだろう、こころが疼くというか、ズキスキするというか。 「結愛さま……?」 琉叶くんがいたわるようにあったかい瞳を向けてくる。 「なんでもないよ。ありがと」 今、わたしの顔はひきつっているかもしれない。