「またそうやって強がる」
ふわりと鼻腔をくすぐる、性格とは程遠い柔らかな秀の香り。
それにつつまれているのが、なんだか不思議で、あったかい。
「怖かったくせに。泣きそうだっただろうが」
おかしい。
普段は絶対に見せない優しい顔になって、わたしの頭を撫でる。秀じゃないみたい。
「変な気遣うな。お嬢様の立場捨てろ」
引き金を引いてしまったのは、アナタだから。
「――こわかっ…た…」
貸してくれた胸に思い切り甘えた。
どうして、わたしはこんな立場なんだろう?
もしも普通の女の子なら、わたしの運命は違ってたかな

