「いい子ちゃんぶらないでよね~」


そう言ったかと思うやいなやバケツを手に取るその彼女。

――かけられる!



反射的に目をつぶった。


「いやっ」

バッシャーン!!

聞こえてきたのは水音。そして、ポタポタと落ちる雫の音。


しかし、冷たいはずのそれは流れてこない。

代わりに、わたしの目の前には影ができていた。


あったかい、背中。

見慣れた、背中。

これって……