「手っ」 「離さないと言ったら」 はい? ぽかんと口を開けっぱなしにすると、「だからやだって言ってんじゃんか」と続けられた。何言っちゃってんだ。 「なに考えて」 「―――ウソだって」 へらりと笑う彼の軽く頭をはたく。 一瞬でもどきりとした心臓と時間を返してほしい。