「なにを?」 聞き返すと、忘れたのかよと苦笑しながらもまたオレの頭をくしゃくしゃにする。 捕まれた大きな手がすごく暖かく感じる。 「人だから。執事も人だからいいと思うってお前、気づいてたんだろ」 「………それは」 「お前は変に勘が働くからな」 知っていた。 慧斗にぃが見つめる結愛さまへの視線の意味。 それは、あまりにもボクが朔ちゃんを好きになった時と似ていた、から。 「中津川(朔)さまのことはいつから?」 まるで自然に、慧斗にぃは笑う。