教科書はあるのに、今日も橘君は机に突っ伏して動かない。 教科書の有無は別に関係ないんだ…。 「蒼空ちゃん!…何読んでるの?」 休み時間、早速借りた本を読んでいると、中村君が飛び付いてきた。 あたしから本を取り上げ、まじまじと眺める。 「か、返して下さい!それ、八木原君に借りた本な……」 最後まで言い切れなかった。