図書委員の人は深く頭を下げて図書室を飛び出していった。 反響が消え、音がなくなる。 「……」 なんとなく恥ずかしくて、あたしは八木原君を見ないように目を泳がせた。 いつの間にか図書室には、あたしと八木原君しかいなかった。 「あ、あの…」 いつまで経っても離れない身体、体温。 さっきから喋らない八木原君が不安になって、あたしは小さく声を掛けた。