「戻ろうっつったの、あんただろ?……ほら」


ふっと笑って、手を差し伸べてくれる櫻田君。

あたしは導かれるようにその手を取った。



「…ありがとう、ございます」



櫻田君の手を握ったまま、のそのそと梯子を下りる。



屋上と出るときも、出たあとも手は繋がったままで、あたしの心臓も激しく動いたままだった。