「せ、先生…この状況は一体……」



「調子に乗らせた私がいけないんです…」



はぁ、と諦めのため息をつく先生。もしかして飲酒行為を先生が許可した?





「少しなら。…少しだけなら飲んでもいいとは言いました。でも、この様ですよ」


「……なるほど」




もはや手に負えなくなった酔っぱらいたちは、あたしたちのことなんて眼中にないかのように騒ぎ立てる。


学校です。ここ、間違いなく学校です。寮だけど。




「蒼空!早く来いって」


八木原君に急かされて、ハッと我に返る。





彼は顔を赤らめて、トロンとした瞳で、甘ったるい口調で。




「蒼空」




気持ちいいくらいの低音であたしの名を呼ぶ。





「八木原君…ちょっと酔いすぎです」




「あーん?酔ってねぇよ」



…どう見ても酔ってますから。あからさまに酔ってますから!





「と、とにかくっ…その手に持っている缶をあたしに渡して下さ……っ!!」


缶を奪おうと出来る限り手を伸ばしたら、逆にその手を掴まれてしまう。




グイ、と倒れるようにバランスを崩してしまった。