「た、ただいまです」
「大丈夫だった?怒鳴られたりしてない?」
遥登君は腰を屈め、あたしの顔を覗き込む。うわわ…近い!
「だっ、大丈夫です!」
慌てて距離を取ろうと身体を引けば、今度は背中が誰かとぶつかった。
「あ…櫻田君」
後ろにいたのは櫻田君だったみたい。あたしの肩を掴んで支えてくれている。
「本当に平気か?動揺しているようにも見えるが」
「えっ!?」
大袈裟に反応してしまう。これじゃあいろいろ怪しまれちゃうじゃないか。
「心なしか顔も赤いな、まだ熱が引いてないんじゃないのか?」
「あ、えと…あの…!」
誤魔化そうとすればするほど噛み噛みになってしまう。ああもう、みっともないな。
「おーい、ちょっといいか?」
しどろもどろになってると、少し離れた所から橘君の声がする。
どうやら櫻田君に向けられた言葉らしい。ごめん、と小さく呟いて行ってしまった。
……遥登君との間に沈黙が流れる。


