「何よ、改まっちゃって」


ん?と首を傾げる翼ちゃん。



泣かれたらどうしよう。ううん、怒鳴られるかも。


「あの、ね…」




言っても言わなくても後悔するなら…全てを話そう。翼ちゃんは、あたしの親友だもん。



ぐっと拳に力を入れて、あたしは口を開いた。





「―――昨日、松神先生に会いました」


翼ちゃんの顔色が大袈裟に変わる。



「…たまたま、ですが」




そう言葉を続けると、翼ちゃんは幾らか安堵の息を吐いたけど、その強ばった顔が緩む事はなかった。



「それで、朝陽と何かあったの?」



冷静を装っていても、声が震えているから分かる。翼ちゃんもあたしと同じくらい緊張してるんだ。




「……キス…されました」




駄目だ、泣きそう。


目に力を入れて、涙を堪える。鼻がじん、と痛くなった。